今年はテディベア100周年ですが、テディベアと同じく1902年に作られたお話をご存じですか?イギリスの劇作家、ジェームズ・マシュー・バリーによる「ピーターパン」です。このお話は私たちの小さいときから本当に身近な存在だった人も多いのではないでしょうか。 
													少し、歴史を振り返ってみると、原作は「小さな白い鳥」というタイトルです。何回か筆が加えられ1904年にはもう、ロンドンの劇場で「ピーターパン」で上演されています。その後ニューヨークでも大ヒットしていますし、1953年にはウォルト・ディズニーの映画に登場しました。なんと、100年に渡り世界中でロングランをしているわけですから、すごいですね! 
												それに今年のクリスマスにはディズニーから「ピーターパン2 ネバーランドの秘密」という新作が公開されます。約50年ぶりの続編は一体どんな映画になるのか楽しみです。 
														日本の舞台にピーターパンが降りたったのは、1981年のこと・・・。 
														元気いっぱいの榊原郁恵さんのピーターパンです。当時私も家族と一緒に見に行きました。新宿コマ劇場で空を飛ぶフライングのシーンにドキドキしたのを憶えています。その後日本ではホリプロ主催のブロードウェイミュージカルとして22年間ロングランされています。 
													 
														さて皆さんは、その舞台の中でテディベアが出てくるのをご存じでしたか? 
														ロンドンに住んでいるダーリング一家には、お父さんお母さん、そして3人の可愛い子供達とナナという犬が暮らしています。 
														ウェンディと、ジョン、そして一番年下の小さな男の子がマイケルです。 
														マイケルはテディベアが大好き!!「クッキー」という名前のベアといつでもどこに行くときも一緒です。 
														今年は生誕100年という事もあり、新しい演出が加えられる事になりました。 
														ピーターパンやウェンディ達と一緒に、なんと、テディベアもフライングするそうです。今までは子供達だけのフライングでしたがクッキーもネバーランドに連れて行ってもらえるのです。 
														その演出をされているのは、私の大好きな自転車キンクリートの演出家鈴木裕美さんです。私は今回機会をいただいてそのクッキーを制作することになりました。 
														あまり制作時間がないということでしたが、たくさんの子供達に見ていただけるならとお引き受けすることにしました。 
														5年前のコンベンションで私がコンクールに出したベアの名前は「ティンク」 
														当時ピーターパンの原作を読んでいた私はティンカーベルから取った名前を付けていたのです。縁があるのかなぁなどと勝手に喜んでいます。 
														テディベアの注文は、子役のお子さんが抱きやすいような胴回りのサイズと重すぎないこと、また遠くからも見えるように50センチ位の身長が欲しいとのことでした。私からはフライングをさせやすいように腕のジョイントをダブルピンに提案しました。腕が横に開きやすいかと思ったからでした。 
														今まで長く出演していたベアに子供達が馴染んでいると聞きましたので、顔のイメージを似せようかと思いました。でも作り始めると皆さんもそうだと思いますが自分の好きなベアの顔が作りたい・・・。担当の方にお電話をして相談すると私の作りたいベアにして下さいと嬉しいご返事でした。 
														そしてお渡ししたベアが「クッキー」になりました。 
														実際には舞台美術の方がフライング用に腕の中にワイヤーを入れて補強してくださいました。 
														コンベンションが行われた7月に東京国際フォーラムで上演されましたが、ご招待を頂き、見ることが出来ました。当日はまるで自分の子供の初舞台に行くようでドキドキしながら伺いました。 
														それではここで、ベアだけを中心に舞台をご紹介しますね。 
												 
												第一部の幕が開くと、かすかにベアの足が見える・・・(あれはクッキー?) 
														ウェンディ達兄弟が寝ると、ピーターパンが自分の影を探しにやってきます。いたずら好きなピーターパンと寝ているマイケルはクッキーの引っ張り合いに。 
														それでもベアを離さない・・・マイケル君、偉い!! 
														影を縫いつけてもらって仲良しになったウェンディ達は空を飛ぶことを教えてもらいます。さあ、いよいよ、ネバーランドに出発の時です。クッキーがマイケルの手から落ちてしまいました。「よりによって、今日落ちなくても!!どうしよう。」 
														マイケルとお兄ちゃんのジョンがクッキーを迎えに降りてきてくれました。 
														あとで楽屋に伺うとこれは演出だそうですが、本当にびっくりしました。 
													 
														第2部でもマイケルに抱かれてずっと舞台で一緒に1歌ったり踊ったり・・・ 
														迷子達やみんなのお母さん役になったウェンディ達と仲良く暮らします。 
														やがて月日が流れ、おうちに帰ることにしたみんなはピーターパンとはお別れです。マイケルはお別れのプレゼントにクッキーを渡します。ピーターパンはベアを後ろ向きにぎゅっと抱きしめて淋しそうでした。(素敵な演出!) 
														その後子供達はフック船長に捕らえられてしまい、クッキーもピーターパンの部屋からフック船長に盗まれてしまいました。フック役の鶴見伸吾さんはクッキーを抱いてベアの声色で話すのですが、子供達も大笑いでした。 
														第3部の始めまでずっと舞台に立っていた(?)クッキーに私は大満足でした。と、 
														ベアだけを中心にお伝えするとこんな感じでしょうか?? 
														他のご出演の皆様ごめんなさい!! 
														3幕まである長い時間子供達は夢中になって見ていました。 
														特にピーターパン役の笹本玲奈さんはすごい運動能力の役者さんで本当に空を飛んでいるかと思えるほど自由自在。お礼が言いたくて楽屋を訪ねたのですがマイケル役の子役さんは、実は可愛い女の子でした。今回が初舞台だとおっしゃっていましたがダンスもセリフもとても上手でした。 
												100年前の20世紀の始まりの時、新しい文化や産業に夢をふくらませた時代だったのかも知れません。 
														テディベアやピーターパンは100年の年月を越えて愛されています。 
														でも、20世紀は悲しい戦争の世紀でもありました。テディベアもベア工場が軍事工場になってしまったり、厳しい条件の中作り続けられていたそうです。 
													 
														今、21世紀の始まりの時に100周年を祝う事の出来る平和に感謝したいと思います。暴力や力で問題を解決したりする社会や、環境を壊してしまう世紀にならないように祈りつつ、ベア作りを続けていきたいです。生誕200周年の22世紀の始まりにも世界中の人が私達のようにお祝いが出来ますように! 
													 
													 
													 
												 
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